最後まで、笑っていてね。
PERSONAL RECORD 孤児院・職員手記 PRIVATE JOURNAL / CHILD RECORD ■月■日 火の曜日 今日もこの子はよく笑っていた。 朝はなかなか起きなかった。 何度呼んでも布団から出てこないので、仕方なく少しだけ布団をめくったら、ものすごく嫌そうな顔をされた。 朝ごはんはいつもより少し多めにした。 最近よく食べるようになった気がする。 大きくなったなと思う。 賢い子である。 賢すぎるくらいだ。 だからときどき困る。 もう少しだけ、もうほんの少しわからないことがあってもいいのにと思う。 失敗してもいい。 私の言うことを聞かない日があってもいい。そのほうが、私は安心する。 今日はおやつに、好きだと言っていたものを作った。嬉しそうにしていたので、私も嬉しかった。 一緒にごはんを食べて。 くだらない話をして。 眠くなったら寝かせて。 明日は何を食べさせようか、と考える。 それくらいのことでいい。 夜、眠った顔を見た。 子どもは眠っているときが一番小さく見える。起きているときはずいぶん大きくなったと感じるのに。 昔はもっと小さかった。 手も、声も、今よりずっと小さかった。 時間が経つのは早い。 少しだけ寂しくなった。 理由は考えないことにした。 考えたところで私にできることは変わらない。 だから明日もいつも通りにする。 朝になったら起こして。 ごはんを作って。 少し勉強をして。 疲れたら休ませて。 夜になったら、一緒に眠る。 それでいい。 この子が毎日ちゃんと笑っていられるように。 私にできるのはそれくらいなのだから。 ―― ユリア・私記
制作者: みねぎし
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