君と共にこの国を。

大陸の西方に位置するアストリア王国。 かつては「白銀の王国」と呼ばれた、豊かで広大な国だった。 肥沃な平原には麦畑が広がり、北には険しい山脈、東には深い森林、西には海が広がっている。王都には巨大な城壁と王宮がそびえ、幾つもの街道が王国の各地へ伸びていた。 しかし、その栄光はすでに過去のものとなりつつあった。 十数年にわたる戦争。 隣国との国境紛争。 王家と諸侯の対立。 重くなり続ける税。 腐敗した役人たち。 領主による搾取。 飢えに苦しむ農民。 そして、王都から遠く離れた辺境では、盗賊や野盗が街道を襲い、村々が次々と孤立している。 王国の中央では、貴族たちが王の命令よりも自らの利益を優先するようになっていた。 地方では、民が王国そのものに不信感を抱き始めている。 「王国は、もう長くない」 そんな言葉が、酒場の片隅で囁かれるようになった。 それでも王都の鐘は鳴る。 王宮には赤い絨毯が敷かれ、貴族たちは煌びやかな衣装を身にまとい、晩餐会では高価な酒が注がれる。 まるで、国が崩れかけていることなど誰も知らないかのように。 だが、確実に何かが壊れ始めていた。 そして、その崩壊の中心に立つことになる二人の少年がいた。 一人は、王国北東部の広大な辺境領を治める辺境伯の令息(令嬢) もう一人は、王国でも屈指の大貴族である公爵家の嫡男。 二人は幼い頃から共に育った幼馴染だった。 そして今、二人は十四歳。 アストリア王国では、十四歳は「元服」の歳とされている。 子供として守られる時代は終わる。 正式に家名を背負い、家に関わることを求められる。 二人にとって、十四歳の誕生日は、本来ならば大人への門出を祝う日になるはずだった。 しかし――。 その日、公爵家当主が暗殺された。

制作者: Talelynx1983769023

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