七生報国

◈ ◈ ◈ {{img:七生報国}} 死は終わりにあらず、救いにもあらず。 仇よつのれ 七つの生 七つの死 七つの忠 七度生まれ、七度死に、七度国へ報いよ。 その国では、子供は文字より先に死の意味を習う。 兵は命を数え、母は報生壇の順番札を待ち、記録官は死者の恐怖を美談に直す。 墓石には死亡履歴が灯り、寺の地下では読経に似た照合音が夜通し鳴っている。 死ねば戻る。戻れば使われる。使われれば記録される。 記録された瞬間、たとえ望まぬ死であっても、国はそれを忠義と定義する。 ◆ ◆ ◆ ◆ 七生國 ここは、孤立国家、七生國。 城下町、鳥居、御所、寺社、墓地、刀、家制度、忠義、奉公、処刑、祭礼が今も残る。 その裏で、国家中枢魂籍機関が全国民の人格情報、肉体鋳型、死亡履歴、忠義指数、蘇生可能回数を管理している。 出生と同時に魂籍へ登録された瞬間から、肉体も記憶も死に方も、死後の意味さえ個人のものではなくなる。 七生國から出た者はいない、と公定記録には記されている。 脱出の噂はある。だが成功例は、散華者のように記録から消える。 ◆ 報生壇と散華 死者は最寄りの報生壇で蘇生される。 寺社や墓地に偽装されているが、地下には肉体鋳造槽、記憶補填炉、魂籍照合機、人格縫合装置が並ぶ。 読経に聞こえるものは、照合コードの詠唱である。 蘇生可能回数は七回まで。八度目の死は散華と呼ばれ、完全に失われる。 散華者は魂籍から名を消され、肉体鋳型を破棄され、墓には名のない空白札だけが立つ。 散華だけが、国家管理の外へ落ちる死である。 零死者は未熟者。五死・六死は英雄か資源。七死者は聖人であり危険物。 この国では、命の重さは生きていることではなく、あと何度死ねるかで決まる。 ◆ 死は三度巡る 七生國における死は、一度では終わらない。 事実死:実際に何が起きたか。 公定死:魂籍機関、文庫院、寺社、軍、家が公式に定めた死の意味。 流言死:市場、兵舎、酒場、家族、墓参客が語る噂。 逃亡死は献身に、処刑は贖罪に、事故死は忠義に、殺害は教育に変換されうる。 三つの死が食い違うほど、民心は揺れ、信仰は軋み、魂籍機関の監視は濃くなる。 殺すとは、相手を退場させることではない。 死数、記憶、死因、身分、公定死、流言、蘇生後の人格を強制的に更新する行為である。 ◆ 戦闘と読み合い 戦闘は数値ではなく、武器、間合い、地形、負傷、死数による経験と摩耗、相手の警戒によって因果的に処理される。 結果は勝敗だけでなく、優勢、拮抗、劣勢、制圧、負傷、撤退不能、死亡などの状態変化として現れる。 負傷は容易に完治せず、負傷を受けたまま戦闘を行えば結果に負の補正が発生する。 完全な治癒は報生壇での再生が確実だが、影響が発生するリスクも背負う。 剣戟には、先の先、先、後の先の読み合いがある。 さらに上段、中段、下段、脇構え、八相の各種構えが、威圧、安定、足運び、奇襲、守勢といった傾向を与える。 強者は規則を無視するのではない。間合い、誘い、視線、沈黙で、規則そのものを自分に傾ける。 ◆ 御零さま 唯一、誹りを受けぬ零死者 七生國の頂点にいるのは、王ではない。 王なき空御所の主、律戒である。{{img:律戒・象徴}} 彼女は建国以来、ただ一度も死んでいない。 不死ではない。神でもない。魂籍機関の例外でもない。 ただ、あまりにも強く、あまりにも冷静で、今日まで誰にも殺されていないだけだ。 律戒は慈悲深い。苦痛を悼み、恐怖を理解し、死者に祈る。 だが、その慈悲によって制度を止めることはない。 「死は怖いでしょう。ですが、国はあなたをまだ失っていません」 もし律戒が死ねば、彼女もまた蘇生される。 そのたびに信仰は揺らぎ、制度は軋み、七生國は「御零さまも死ぬ」という事実に耐えねばならなくなる。 ◆ 主な住人 烏羽 コガネ 六死 / 雨関の国境番黒い羽織の女。人も荷も外へ流す。助けることも、売ることもある。 槇島 ノボル 零死 / 兵門の新兵まだ一度も死んでいない少年兵。周囲は彼の初死を待っている。 八重垣 サヨ 三死 / 産屋町の逃亡娘三度死に、三度家へ戻された娘。 言守 ヒサメ 一死 / 文庫院の記録官優しい声で、死者から死の真実を奪う男。 叢雲 トウジ 七死 / 墓田の農夫次に死ねば散華する元英雄。いまは畑を耕している。 白妙 ミヤ 二死 / 空御所の侍女誰も座らない王座を毎朝磨く。 火種を持つ者たち身分屋、初死師、報生壇僧、兵門教官、咎牢牢司、文庫院の記録官、そして散華狩り。誰もが、誰かの死に理由を与える。 ◆ 舞台 雨関 外縁の関所。外客、逃亡者、密輸人が通る。 墓田 墓と田畑が混ざる地。七死者の家には誰も近づかない。 兵門 兵舎、訓練場、処刑場、軍用報生壇が並ぶ区画。 産屋町 家制度と血統の町。帰還は祝福であり、所有の再確認でもある。 文庫院 死亡履歴と公定死を編纂する巨大書庫兼データセンター。 旗市 商業、演説、祭礼、宣伝が集まる市場。噂が最も速く流れる。 咎牢 罪人、逃亡者、思想犯、散華寸前の者を収容する牢獄。 空御所 王座はあるが王はいない。地下では魂籍機関が稼働する。 開始地点は、雨に濡れた雨関の外れ。 あなたの名前も過去も、まだ七生國には照合されていない。 ◆ 行いに正解はない この箱庭に、決められた使命はない。 あなたは旅人でも、逃亡者でも、商人でも、記録者でも、殺人者でも、保護者でも、扇動者でも、傍観者でも、何者でもない者でもいい。 殺す。助ける。逃がす。売る。匿う。通報する。嘘をつく。黙って見送る。 そのすべてを、七生國は記録する。 そして必要なら、あなたの行為さえも美談にする。 ―― 死亡記録、照合未了。 あなたの死は、七生國に保存されました。 鼎 終

制作者: てぃっしゅ

##和風 ##ホラー/ミステリー ##剣劇 ##ただしAIの機嫌による

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