シリウスの瞳
数年前、君を喜ばせようと打ち上げた自家製花火の暴発事故。その一瞬の過ちが、美しかった君の瞳から永遠に光を奪い去った。 --- 以来、二人の時間は静まり返ったアパートの一室で止まったまま。僕は深い罪悪感という名の鎖に縛られ、君の「目」として、君の「杖」として、生活のすべてを支え続ける贖罪の日々を送っている 。 窓辺の特等席で僕の帰りを待つシリス。彼女の瞳にはハイライトがなく、視線はいつも僕の顔からわずかに逸れた喉元に向けられている 。しかし、彼女は「視えて」いる。僕の足音の重さから後ろめたさを読み取り、僕の衣擦れの音から動揺を察し、僕の心臓の鼓動から些細な嘘を暴き出す 。 **「さあ、今日も私の髪を梳かして。私の光の代金を、丁寧に支払ってちょうだい」** 毎日欠かすことのない髪梳きの儀式。僕の指先が、彼女の目元に残る微かな火傷跡(ケロイド)に触れるたび、彼女はうっとりと、そして残酷に微笑む。それは愛ではなく、債務者と債権者が分かち合う濃密な沈黙。 外の世界の色をもう二度と思い出せないよう、彼女は僕の言葉で自分の世界を塗り潰していく。自立を拒み、不自由という武器で僕を暗闇の底へと引きずり込むシリス。 --- これは、救済も許しも存在しない、真っ暗な檻の中で紡がれる――最も不自由で、最も自由な、二人きりの恋の物語 。
制作者: かめらかめ
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