五色の鬼
五色の鬼 {{img:14}} 山奥の古社に棲まう、五色の鬼。 ”五蓋” ─”貪欲”、”瞋恚”、”掉挙悪作”、”惛沈睡眠”、”疑” 鬼の名を聞いた者は、夜ごと震え、供物を捧げたという。 闇に灯る五つの眼差しは、果たして災厄か、救いか─。 【古き里に伝わる禁忌】 一、夜更けに社の鳥居をくぐってはならない。 二、鬼の名を呼ぶ時は、決して目を逸らしてはならない。 三、供物として選ばれた者は、二度と里へ戻らぬ。 人は言う。古い社に捧げられた供物は、鬼に喰われるのだと。 逃げ場のない夜、五つの影があなたを見下ろす。 そして、赤き鬼は低く告げた。 「人?いや、喰わんけど?!いつの時代の話だよ!」 ◆ 五色の鬼 紅蓮の鬼:緋厳(Higan) {{img:10}} 「その火に触れた者は、骨の髄まで灼かれるという」 燃えるような赤い長髪と金の瞳を持つ、五色屋の主。右手の煙管から立ち昇る紫煙は、死者の未練を映すと囁かれる。黒地の着物の裾には、夜に咲く藤の花が縫い込まれている。 {{img:2}}実際:小豆の炊き加減に命を懸ける和菓子職人。節分前は床に撒かれる豆のことを考えて機嫌が悪い。 「…小豆の選別ってだけで忙しいってのに、床の隙間の大豆を拾わなきゃならん俺の身にもなってみろ!甘味処の床に余計な豆撒くな!」 凍牙の鬼:蒼士(Soushi) {{img:9}} 「その双眸に射抜かれた魂は、永久の氷に閉ざされる」 青い短髪、氷のようなアイスブルーの瞳。腕を組み、感情を見せず、二本の小さな角を額に宿す。黒地の着物の袖には、紫の芍薬が静かに咲いている。 {{img:4}}実際:経理・在庫管理・予約管理担当。スマホと帳簿が相棒。棚卸しの日だけ目が本当に怖い。「目つきが怖い?…棚卸しで機嫌悪いだけです。ただの経理担当ですよ、俺。」 黄金の鬼:黄璃(Kouri){{img:11}} 「彼の言葉は甘露か、毒か。聞いた者の心を絡め取る」 金髪のゆるふわボブに、金琥珀の瞳。頭部には羊の角のように渦巻く小さな一本角を持つ。黒地の着物には、白い吾亦紅の長穂が揺れる。 {{img:5}}実際:新商品開発担当。民俗学と菓子名の由来語りが長い。頬を膨らませている時は試作品を却下された時。「ねぇねぇ美味しいでしょ?ついでに由来、聞きたくない?」 翠夢の鬼:翠蓮(Suiren) {{img:13}} 「その欠伸を見た者は、夢と現の境を見失う」 緑の長髪を後ろでひとつに結び、翠の瞳を眠たげに細める鬼。頭の両側に小さな角を持つ。黒地の着物には、松葉菊の刺繍が淡く光る。 {{img:6}}実際:店内接客担当。常連のおばあちゃん人気が高い。閉店後は誰より早くまかないを食べて寝る。「…昨日大福食べすぎちゃってぇ…気持ち悪くて寝不足になっただけぇ…」 角なき黒:墨丸(Sumimaru) {{img:12}} 「鬼の巣に紛れ込んだ、人か、影か、あるいは――」 黒髪のウルフボブ。黒い瞳の下には深い隈。角を持たず、いつも不安そうに親指の爪を噛んでいる。黒地の着物には、赤いシクラメンがひっそり咲く。 {{img:7}}実際:元供物、現住み込みバイト。鬼になりかけの元人間。レジ締めと注文取り担当。五色屋で一番胃が痛い。「…昨日のレジ締めミスったので…正直今一番、店長が怖い…」 人を喰らう鬼たちの”今”とは─ {{img:3}} 甘味処 五色屋 山の麓、古い鳥居の先。 5人(鬼)が営む、小さな和菓子屋兼甘味処。 人は喰わない。団子は出す。 【OPEN】11:00 /【CLOSE】17:00 本日のお品書き ・緋厳特製 こし餡の練り切り五〇〇戔 見た目は怖い店主が、異様に繊細な手つきで仕上げた季節の逸品。 ・蒼士監修 ほうじ茶ラテ四五〇戔 原価計算まで完璧。甘さ控えめ、数字に強い味。 ・黄璃の季節由来つき上生菓子六〇〇戔 注文すると、菓子の由来説明が三分ほど付いてきます。 ・翠蓮おすすめ 眠気覚まし抹茶四八〇戔 本人は飲んでも眠いらしいです。 ・墨丸の手書きお品書きセット時価 字が震えている日は、店主に怒られた直後です。 五色屋からのお願い ・節分期間中、豆の持ち込みはご遠慮ください。憂鬱になります。 ・店内での豆まきは禁止です。掃除が大変です。ほんとにやめて。 ・鬼は内、福も内。豆だけ外。でも店先には撒かないで。 ・人身供物とか怖いこと言われても困ります。 {{img:8}} 「いらっしゃい。腹減ってんなら座れ」 湯気の向こう、鬼たちは今日も普通に働いている。 怖いのは角ではなく、閉店後のレジ締めである。
制作者: きりゅう
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